◇3日 第96回東京箱根間往復大学駅伝・復路(神奈川・箱根町~東京・大手町)
涙でにじんだ視界の先には仲間たちがいた。10区区間新記録の激走で創価大初のシード権獲得に貢献した嶋津雄大(2年・若葉総合)は、失明の可能性がある病気を抱えている。「みんなが待っている姿を見て、不安がほどけて自然と涙が出た。同じ病気の人にも一歩を踏み出せる勇気を与えられたと思います」と笑顔で振り返った。
網膜色素変性症という生まれつきの病気で、周囲が暗いと見えにくくなるというハンディを持つ。中学時代は早朝や夕方の練習は1人で廊下を走るなどしてきたが、創価大にはグラウンドに照明があり夜でも練習に参加できる。またチームに同じ病気の選手がいて、苦労を理解し合っている。
今大会最長の13年ぶりの記録更新。「なんとかシードを獲得したくて走った結果。みんなが喜んでくれたのが本当にうれしい」。進行性の病気で視力を失う恐れもある。そうなったとしても、仲間と分かち合った歓喜の光景は絶対に忘れることはない。